二日後、白石晴美は果物の入ったネット袋と二箱の高級菓子、数缶の缶詰を持って、田原邸を訪れ、田原家の老夫婦に挨拶をした。
準備万端で来たので、彼女は慌てることはなかった。自分の父が東京に戻り総合病院に入院した時、田原家の長老も他の人々と共に見舞いに来てくれたので、今日は礼儀に従って返礼の訪問をするのだった。
何年も田原家を訪れていなかった晴美は、彫刻が施された鉄門がゆっくりと開くのを見つめ、まるで別世界のような感覚に襲われた。心は微かに高鳴り、静かな湖面を撫でる風のように、広がる波紋を抑えることができなかった。
彼女は物心ついた頃から田原青山を好きだった。どれほど好きだったかというと、よく田原邸に通っては帰りたがらず、田原パパが厳格で、田原お母さんが冷淡でも、気にせず、青山と一緒にいられるだけで良かった。最初、青山は彼女に優しかったが、後に黒田月美のせいで...実際、これは彼女のせいではなかった。姉として月美を若者の集まりに連れて行き、友達を増やすことに何の問題があるだろう?月美は性格が活発すぎて、出会う男性ごとに恋をする、そんな女性は青山の愛を受ける資格などなかった!なのに青山は目が曇り、月美の心変わりを恨むどころか、彼に全てを捧げる覚悟のある自分を拒絶したのだ!
晴美もそう簡単に諦める人間ではなかった。もし白石家にこの災難がなければ、彼女は依然として青山を追い求め続けただろう。たとえ心臓を取り出して見せても良かった。しかし残念なことに、白石家の没落により、彼女はその機会を失った。
彼女は多くを経験し、できる限り彼の情報を集め、見守り続けた。彼は彼女と同じく独身を貫き、結婚しなかった。それが自分のためではないと知りながらも、心の中では言いようのない喜びを感じていた。
今や白石家は名誉を回復し、再び台頭しようとしている。青山、あなたも私も未婚のまま、私たちは最も相応しいカップルです。お互いにチャンスを与えましょう!
晴美は期待に胸を膨らませて訪れたが、失望して帰ることになった。