第248章 風を奪う

洗塵宴の同席者の中に、白石家も含まれていた。

白川旦那はまだ車椅子に座っていたが、健康状態は良好で、話し声には力強さがあり、かつて軍を率いて戦った威厳が今も残っていることが一目でわかった。彼は次男の白石立和と次孫の白石俊介を連れて宴に参加し、遠方からやってきた佐藤有樹夫妻に丁寧に贈り物を渡した。おじいさんとおばあさんは恐縮していたが、白川旦那はおじいさんの手を握り、朗らかに笑いながら言った。

「田原家と白石家は代々親交が深く、並々ならぬ関係です。真理子は田原家のお孫さんですが、我が白石家の孫同然です。お二人の行き届いた世話と養育に、私は感謝の言葉もありません…」

傍らの黒田家の長老は顔を半分黒くしたが、主催者の立場上、我慢して何も言わず、ついでに黒田お婆様を少し引き離し、余計なことを言わせないようにした。

客を席に案内した後、黒田お婆様は我慢できず、黒田家の長老を角に引っ張って小言を言った。「人に見せるためだって言ったじゃない?白石家の若造は下心があって、あなたの長孫が気づかないうちに真理子を探しに行って、隙を見て孫の嫁を奪おうとしてるのよ!今日もあの白川のじいさんは明らかに私たちの風上に立とうとしてる。あなたはそれを許すの?」

黒田家の長老は「はぁ」と声を出した。「どうして許すものか?私がこれだけの人を招待したのは何のためだと思う?ただ飲み食いさせるためか?見ていなさい、今日の後、東京のこれらの名家の若者たちは、誰も真理子に手を出そうとは思わなくなる。あなたの長孫の嫁は逃げられないよ!」

「ふん!私は安心できないわ。あなたと均の父親だけじゃ、一人はおおざっぱで、もう一人は無関心で、若嫁がさらわれそうになっても焦らないんだから!それにあなたの兄さんときたら、真理子があなたたちのために持ってきた護身用の命の薬丸、どれほど貴重か知れないのに、大盤振る舞いで人にあげちゃったのよ!見てごらんなさい、今の白川のじいさんの得意げな様子、本当に腹が立つわ!」