第262章 プレゼント

真理子は黒田俊均の手の中で少し身をよじらせ、言った。「私は姫子たちと一緒にお年賀に行かなきゃ!」

大野姫子はすかさず真理子に近づき、頷きながら言った。「そうよそうよ、私たちこれから他の家にお年賀に行くところなの!」

俊均は姫子や次々と集まってくる数人の女の子たちに視線を走らせ、穏やかな表情で言った。「じゃあ、みんな車に乗って、まずは私たちの家に行こう。その後どこかに行きたいなら、遠すぎる場所は正志か錦一に車で送ってもらおう!」

「いいわいいわ!じゃあ正志兄さんと錦兄さんにお願いしちゃおう!」

数人の女の子たちは大喜びした。お年賀に行ってお年玉をもらえるうえに、車で送り迎えしてもらえるなんて、最高だ!

しかし正志と錦一は眉をひそめた。なんだよ?理由もなく突然任務を与えられるなんて。彼らは年長者の命令に従って象徴的に数軒の家に年始の挨拶に行くだけのつもりだったのに、子供たちの集団と付き合わされるなんて御免だ!

俊均は言い終えるとそれ以上気にせず、左腕に玲子を抱え、右手で真理子の手を引いて階段を降りた。姫子たちは機転が利いたので、すぐに後に続いた。君奈々は逆に女の子たちに押しのけられて後ろに取り残された。ジープには運転手の他に4人しか乗れず、玲子は助手席に座るつもりだったが、俊均は彼女を正志の車に押し込み、真理子と姫子たちを連れて自分の車に乗り込み、すぐに走り去った。奈々は小さな女の子たちと席を争うわけにもいかず、俊均の車が去っていくのをただ見つめるしかなかった。心の中は酸っぱい思いでいっぱいだった。彼が気づかないはずがない。自分のような大きな女の子が玲子についてわざわざここまで来て待っていたのに、彼は去る時に自分のために席を用意することもなく、一言の声かけさえもしなかったのだ。

中庭にはまだ二台の車が停まっていた。正志は玲子をなだめており、誠一は俊欽と田原浩浩に声をかけに行った。大崎健太は別の車の運転席に座り、窓ガラス越しに花壇の端に立つすらりとした背中を見つめ、目の奥に複雑な色が浮かび、唇の端にはふと嘲るような笑みを浮かべると、ドアを開けてその優美な女性に向かって歩いていった。

奈々は健太の助手席に座り、密かにほっとして、心はいくらか落ち着いた。