白石晴美が去った後、白石立和もすぐに出かけた。谷村柳子が持ってきた滋養スープを飲まなかったため、柳子は順子お母さんに叱られた。手際が悪くて二叔父様の機嫌を損ねたと言われたが、柳子は口をとがらせた。「私に何の関係があるの?白川二叔父さんは明らかにあの電話のために急いで出かけたのよ」
前世でもそうだった。白川二叔父さんと吉田暁文の関係は明らかに異常だった。
田原邸では、夕食後、田原青山と真理子が一緒に食器を洗い片付けた。真理子はさらにストーブの上に湯を沸かし、果物を洗って切り、皆に出した後、自分は二階の自室に戻った。
誰も彼女を邪魔しなかった。この数日間、彼女と黒田俊均が常に一緒にいて仲良くしているのを見て、みんなはこの少女が婚約者を受け入れたのだと理解していた。今日、俊均が部隊に戻り、少女は表面上は何も表さなかったが、心の中ではきっと辛かっただろう。こういうことは他人が手助けできることではないので、彼女をそっとしておくことにした。
黒田俊均が去った。この別れは2、3年会えないことを意味し、真理子は確かに悲しかった。特に別れ際の俊均の眼差しを思い出すと耐えられなかった。その目に込められた様々な感情は、前世の永遠の別れの時と同じだった。真理子は思わず泣き出し、俊均はそれを見て引き返そうとしたが、ヘリコプターの中の二人に引き止められた。一方、真理子の側にいた田原浩誠と大崎誠一も彼女を連れ去った。飛行機が空高く飛び立つのを見送るはずだったのに、結局は俊均が彼女の背中を見送ることになった。
俊均は真理子に分厚い手紙を残した。中身はある程度予想できたが、真理子はそれでも急いで読みたかった。まるでごま油を盗んだ小さなネズミのように、隅っこに隠れて一人で楽しみたかった。彼女は部屋に駆け戻ると、ドアをしっかり閉め、もう出てこなかった。
階下では皆がフルーツを食べながらおしゃべりをし、テレビを見ていた。姉に頼まれていた浩誠は、キッチンのお湯が沸いたのを見て、茶器を並べ、おじいさん、大叔父さん、お父さんにお茶を入れた。見事なものだった。田原青雲は息子が手を火傷しないか心配して代わろうとしたが、青山は笑いながら止めた。「彼はうまくやっている。君の手は必要ない」
青雲は感慨深げに言った。「大学に行くと違うね。生活スキルを身につけたんだ」