第285章 譲り買い（二合一）_3

真理子は少し驚いた。白石立和が言うのが聞こえた。「暁々、どうしたの？せっかく吉田おじさんの愛蔵品を見つけたんだから、三日後には必ず持って帰れるって約束するよ」

田原雅子も同調した。「そうよ、お母さん。三月には外祖父と外祖母が京都に来るし、ちょうど外祖父の誕生日だから、お母さんがこの玉の工芸品を外祖父にプレゼントしたら、きっと喜ぶわ。贋作だとしても、本物の『夏の調べ』はもう砕かれて存在しないんだし、元々『夏の調べ』は外祖父の家伝の宝だったんだから、誰もこれが贋作だなんて疑わないわ！」

吉田暁文は手を伸ばして雅子の髪を撫で、微笑んだ。「花菜は本当に賢いわね！でも、お姉さんが気に入ったなら、譲ってあげましょう。外祖父が戻ってきたら、お姉さんに芸術品の鑑賞方法を教えてもらえばいいわ。その時、あなたも一緒に学べるからね」

雅子は素直に頷き、もう何も言わなかった。

暁文はさらに立和と少し話し、真理子は横で聞いていて、ようやく状況を理解した。どうやらこの玉の工芸品は吉田お祖父さんに関係があり、模造品だが、本物は家宅捜索の際に砕かれてしまったらしい。噂によると、吉田お祖父さんはそれを見て血を吐いたという。

家宝である形あるものが砕かれただけで血を吐くほどなのに、昔、婚約者が山林で殺されたときは何ともなかったなんて！

そういえば、何ともなかったわけではなく、田原おばあさんの話では大病を患い、死にかけたが、その後、小林真実を娶って厄払いをし、生き返ったとか！

吉田のじいさんの心の広さには感心するしかない！

吉田暁文が「夏の調べ」を譲ってくれるなら、しかも彼らが値切った価格の三百万円なら、真理子は買うしかなかった。

しかし、彼女はそんなに多くの現金を持っていなかった。ちょうど店の近くに公衆電話があったので、真理子は田原青山に電話をかけた。青山は小娘がいきなり三百万円を要求したと聞いて、何をするつもりかと尋ねた。真理子が玉の工芸品の贋作を買うと正直に言うと、青山は一瞬言葉を失い、店の名前を聞いてから、大人しく待っているように言い、誰かが迎えに行くと告げた。