第三百十二章 人身売買犯を憎む
招待所の客室は明るく照らされ、床には人影が映り、ベッドは雪のように白く清潔で、天井の扇風機がゆっくりと回って涼しい風を送り、網戸の外からは花や木の香りが漂ってきた。このような静かで快適な環境は、丹下五女と二人の子供たちにとって、まるで天国のようだった。
真理子は一人で部屋に泊まりたいと言い、おばあさんは彼女の性格を知っていたので、網戸に蚊が入っていないか確認し、早く寝るように、本を読むにしても遅くまで起きないようにと注意して、ドアを閉めて出て行った。しかし、おばあさんはスタッフが用意した別の部屋には戻らず、丹下五女親子の三人部屋に向かった。おじいさんは病院で宝樹に付き添っており、おばあさんは父子がいろいろと話し合うだろうと予想していた。彼女も五女と話したいことがあり、また道中ではぐれた子供についても知りたかった。三つのベッドはそれなりの大きさで、夜は彼女が秋田雁子と一緒に寝れば十分だし、鵬が布団を蹴飛ばしていないかも見てあげられる。
おばあさんが去った後、真理子も部屋を出て、すぐに3階に駆け上がり、田原青雲の部屋のドアをノックした。
公務員が転勤すれば当然住居は職場に返さなければならず、青雲が時々訪れる際も招待所に泊まる必要があった。
実の娘が自分から会いに来てくれたのを見て、青雲は非常に喜び、椅子を引いたり、お湯を注いだりと忙しく動き回り、書斎からフルーツの盛り合わせを持ってきて、にこにこ笑いながら言った。「車のトランクから取り出したんだ。とても美味しいよ、ほら、真理子も食べなさい!」
真理子は「……」
私が入れたのよ、私が。まさか車のトランクが自動的にフルーツを生産できると思ってるの?
「真理子は何か話したいことがあるの?」青雲は向かいに座り、真理子の5倍の速さで紫のブドウを食べながら尋ねた。
真理子は頷いた。「杏花が誘拐された件をどう処理するのか知りたいの。人身売買犯のことよ。関わった全ての人、鈴木三男の家族も含めて、何をしたかに関わらず、手を染めた者は全て人身売買犯で、厳しく罰せられるべきよ!」
青雲は言った。「真理子、もうすぐ学校が始まるから、安心して東京に戻りなさい。この件は公安局に任せておけばいいんだ。」