佐藤宝樹は真理子を見つめ、誠実で朴訥とした笑顔を浮かべた。「真理子さん、叔父さんは綺麗事は言わないよ。ここで君にお礼を言わせてくれ!」
真理子は笑いながら手を振った。「叔父さん、家族なんですから、そんな遠慮はいりませんよ。」
宝樹の目は少し赤くなっていた。「そうは言っても、叔父さんは分かっているんだ。もし君がお年寄り二人に付き添っていなかったら、今日の私たちはなかったかもしれない!」
「叔父さん、今は再会できたじゃないですか?これからはもっと良くなりますよ!」
「そうだ、そうだ!もっと良くなる!」
宝樹はおばあさんの手を握り、彼女の目を見つめた。「お母さん、息子のことを思って目を腫らすほど泣いていたなんて、息子は申し訳ありません!」
「坊や、母さんがちゃんと見ていなかったせいで、苦労をさせてしまったわ!」
「両親を見つけることができただけで、十分です!長い間心配をかけてしまって、不孝者です!お母さん、お父さんとも話しましたが、私は両親の息子です。両親がいるところに、私もいるべきです。子供たちと妻も私についてきます。私たちは皆、両親と一緒にいたいんです。もう離れません!戸籍や田畑がなくても大丈夫です。息子には力があります。山を開墾したり、日雇い仕事をしたりして、家族を養っていけます!」
おばあさんは涙を流しながら笑った。「いい息子だね、開墾する必要はないよ。うちには数エーカーの責任田があるんだよ。ちょうど夏の収穫が終わったところで、売らなければ食べるには十分だ。お父さんと真理子は早くから家の前の山に目をつけて、契約して、山いっぱいに薬草を植えたんだ。秋になったら薬材を収穫する予定だけど、真理子はこれから東京に大学に行くから、お父さんを手伝う人がいなくて困っていたところだよ。あなたたちが帰ってきてくれて本当に良かった!」
真理子が言った。「そうなんです。叔父さんと叔母さんがおじいさんとおばあさんと一緒にいてくれれば、私も安心して大学に行けます。」
宝樹は真理子を見つめ、羨望と少しの悲しみを目に浮かべた。「本当に賢い子だね、こんな若さで大学に行けるなんて。杏花は真理子より年上なのに、ほとんど字も読めない...全て叔父さんの無能のせいだ!」