今日は田口優里と佐藤政夫の外来診療日だった。
彼女は急いで家に帰り、シャワーを浴びて着替えてから駆けつけ、もう少しで遅刻するところだった。
仕事を始めたばかりのところに、鈴木お爺さんが友人を連れてやって来た。
鈴木お爺さんの友人は菊池という姓で、二人は若い頃に兵士として従軍し、戦友だった。その後、地方政府の同じ部署で働き、ずっと良い関係を保っていた。
退職後、鈴木お爺さんは冠状動脈疾患、高血圧、糖尿病を患った。
菊池お爺さんはまだ元気だったが、誰も彼が突然脳卒中になるとは思っていなかった。
脳出血の後、お爺さんの状態はどんどん悪くなっていった。
第二病院は心臓血管疾患を専門とする病院で、お爺さんが病気になった後、家族は彼をここに連れてきたこともあった。
第二病院だけでなく、国内の有名な大病院にも行ったことがあった。
しかし、脳出血による後遺症に対しては、最も有名な心臓血管専門医でも手の施しようがなかった。
西洋医学、漢方、食事療法、民間療法、すべて試したが。
効果はなかった。
鈴木お爺さんの強い推薦を聞いて、彼らは今日、経験豊富な老漢方医に会えると思っていた。
しかし田口優里を見て初めて、鈴木お爺さんが言っていた「良い医者」がこんなに若いことを知った!
診察券はたった6元だった!
手に持った診察券を見て、そして田口優里のどう見ても若くて美しい顔を見て、お爺さんの息子である菊池和勝は信じられない思いだった。
卒業したばかりに見える医学生が、全身麻痺を治せると大言壮語するなんて?
鈴木お爺さんはどうして騙されたのだろう?
菊池和勝だけでなく、菊池お爺さん自身も元々期待していた心も、この時冷めてしまった。
外にいた野井北尾は人を見る目があり、はっきりと見て取った。田口優里のこの患者とその家族の目には疑いがあり、信頼の欠片もなかった。
実際、野井北尾も疑問に思っていた。このお爺さんは状態が良くなさそうだが、田口優里は治せるのだろうか?
田口優里は外の人影に気づかず、笑顔で鈴木お爺さんに挨拶し、患者の脈を取った。
菊池家の人々が来る前はまだ希望を持っていたとしても、今はただ鈴木お爺さんの面子を立てるために形式的に来ただけで、田口優里が何か診断できるとは期待していなかった。
野井北尾も外で静かに彼女を見ていた。