もし他の人がこんなに口が達者だったら、三井和仁は決して許さなかっただろう。
結局、彼も油断できない相手だ。
しかし今、その人は田口優里であり、彼の目には、その口の達者さも機敏で可愛らしく、明るく魅力的に映る。
彼は何も言わず、ただ田口優里を見つめている。
以前は気づかなかったが、今は見れば見るほど彼女が美しく思える。
三井和仁は名門の出身で、気性が荒くても、多くの美女が自ら彼に近づいてくる。
いわゆる、肥えても痩せても、それぞれに魅力がある。
しかし三井和仁はそのすべてに興味を示さなかった。
彼自身、どんな女性が好きなのか分からなかった。
今ようやく分かった。
本当に誰かを好きになるというのは、条件などないのだ。
その人がどんな外見であれ、それが好きなのだ。
他のことは言わないが、田口優里の耳たぶにある目立たないほくろさえ、三井和仁には特別に可愛らしく思える。