第71章 数億円の損失を感じた

もし他の人がこんなに口が達者だったら、三井和仁は決して許さなかっただろう。

結局、彼も油断できない相手だ。

しかし今、その人は田口優里であり、彼の目には、その口の達者さも機敏で可愛らしく、明るく魅力的に映る。

彼は何も言わず、ただ田口優里を見つめている。

以前は気づかなかったが、今は見れば見るほど彼女が美しく思える。

三井和仁は名門の出身で、気性が荒くても、多くの美女が自ら彼に近づいてくる。

いわゆる、肥えても痩せても、それぞれに魅力がある。

しかし三井和仁はそのすべてに興味を示さなかった。

彼自身、どんな女性が好きなのか分からなかった。

今ようやく分かった。

本当に誰かを好きになるというのは、条件などないのだ。

その人がどんな外見であれ、それが好きなのだ。

他のことは言わないが、田口優里の耳たぶにある目立たないほくろさえ、三井和仁には特別に可愛らしく思える。