第110章 別れましょう

田口優里がまだ何か言おうとしたとき、三井和仁の美しい瞳が珍しく強さを収め、少し期待を込めて彼女を見つめていた。

「今日は僕の誕生日だよ、一緒に食事をするのも嫌なの?」

田口優里はその瞳に見つめられ、うやむやに頷いてしまった。

三井和仁の機嫌はさらに良くなった。

上尾剛は田口優里の後ろで親指を立てた。

三井和仁は得意げに彼に顎をしゃくった。

鍼治療が終わると、田口優里は上尾剛に連れられてダイニングルームへ向かった。

三井和仁は10分後にやってきた。

田口優里が顔を上げて見ると、このおしゃれな男が服を着替えていたことに気づいた!

さっきまで黒いシャツを着ていたのに、今はワインレッドのシルクシャツに着替えていた。

シルクという素材は、体型が良くない人が着ると完全な惨事だ。

少しでも贅肉があれば、何倍にも拡大して見えてしまう。