第202章 奇妙な出来事が起きた

野井北尾も、自分と田口優里の間の信頼は、少しずつ積み重ねていく必要があると感じていた。

実際、彼は田口優里を信じていたが、この信頼はどこか確固たるものではないように思えた。

周囲の環境によって揺らぎ、変化してしまう。

特に、階下で三井和仁を見かけたとき、野井北尾の心の中で怒りが再び湧き上がった。

この男は、松下牧野と同じように、なぜいつも付きまとうのか?

田口優里も三井和仁を見かけた。

上尾剛が彼を支えていた。

田口優里は直感的に何か違和感を覚えた。

三井和仁の足が立てるようになってから、彼が人に支えられる必要があったことなどあっただろうか?

「どうしたの?」田口優里は尋ねた。

三井和仁は少し委縮した様子で彼女を見つめた。

上尾剛は急いで口を開いた。「優里、若様が不注意で転んでしまって、それから足の調子が悪いんです。」