第348章 私はコントロールできない

そう言っても、鈴木真珠は分かっていた。この老婦人の表情と口調には、感謝の意が微塵もなかった。

老婦人は彼女を急かした。「早く連絡を取る人を見つけなさい。早ければ早いほどいいわ!」

祝日なのに、自分が気分良くないなら、他人も気分良くさせたくないのだ!

田口義守の連絡先は見つけやすかった。鈴木真珠は何人かの仲介者を通じて、すぐに彼の電話番号を手に入れた。

田口義守が電話を受けた時、ちょうどレストランで接待中だった。

彼はここ数日、何をするにも順調だった。

以前、田口義守は野井北尾と顔を合わせられないほど関係が悪化し、ビジネスの世界で身動きが取れなくなるのではないかと心配していた。

しかし意外なことに、どんな手続きをしても、すべてがスムーズに進んだ。

それだけでなく、銀行から積極的に連絡があり、融資が必要かどうか尋ねられた。

会社を経営している人で融資を必要としない人などいない。

向こうから差し出された好条件を、田口義守が断るはずがなかった。

とにかく、この期間、田口義守は春風に恵まれた得意の人だった。

後になって他人の口から聞いたことだが、彼は田口優里の実の父親ではなく、野井北尾とも関係が良くないが、優里の実の父親が松下牧野であることが重要だったのだ!

田口義守がどうあれ、田口優里を育て上げたのは事実で、それだけでも松下牧野は田口義守に多少の顔を立てるだろう。

その程度の顔でも、田口義守が大きく成長するには十分だった。

そういう理由だと知って、田口義守はすっかり安心した。

多くの人がそう言うので、最終的に彼自身も信じるようになった——自分が田口優里をここまで育て上げたのだと。

この見知らぬ番号からの電話に、田口義守はとても丁寧に対応した。主に電話番号の下4桁が良い数字だったので、何かの顧客だと思ったのだ。

しかし、相手はすぐに名乗った。「田口さんですね?私は松下牧野のいとこの妹です。鈴木真珠と申します。」

同じ頃、病院で当直していた田村若晴は田口優里を見つけ、元旦をどう過ごすか尋ねた。

田口優里は言った。「お爺さんに会いに帰るわ。どうしたの?」

田村若晴は言った。「松下叔父さんは?」

「彼はたぶん...東京に帰ったんじゃないかな。」

「いいえ」と田村若晴は言った。「さっき彼と話したけど、墨都にいるわよ。」