第349章 産前うつ病

田村若晴は彼女をじっくりと見つめ、そして微笑んだ。「そういう考えを持つのは、実は普通のことよ。中には結婚前に逃げ出す花嫁もいるくらいだから」

田口優里は彼女の言葉に笑ってしまった。

「それで、松下叔父さんを家に招待するかどうか決めたの?もし招待しないなら、私が松下叔父さんを私の家に招待しちゃうわよ」

田口優里は言った。「野井北尾と相談してみるわ」

「いいわ、相談してみて。私は先に科に戻るから、決まったらメッセージで教えてね」

田村若晴が去った後、田口優里は野井北尾に電話をかけた。

こんなことは相談するまでもなく、野井北尾はきっと同意するだろう。

案の定、田口優里がそう言うと、野井北尾はすぐに答えた。「もちろんいいよ。僕の意見を聞く必要はないよ。野井家は僕の家であり、君の家でもあるんだから」

電話を切ると、野井北尾はおじいさんに一言伝えようと思った。おじいさんも確実に同意するだろうが、事前に伝えておくことは必要だった。

彼がおじいさんに電話をかける前に、先に彼の携帯が鳴った。

少し意外なことに、田村若晴からの電話だった。

思えば、田村若晴が彼に積極的に連絡してくるのは、いつも重要な話があるときだった。

そのため、野井北尾は彼女からの電話を見ると、少し緊張してしまう。

案の定、田村若晴は再び彼に爆弾発言をした。

最初、彼女は尋ねた。「優里ちゃんの最近の気分はどう?」

野井北尾は少し不思議に思った。「気分?とても良いよ、とても楽しそうだよ」

「彼女がよく一人でぼんやりしたり、話している途中で急に気が散って何を考えているのか分からなくなったりすることはない?」

野井北尾は携帯をきつく握りしめた。「時々そうなることはあるね。仕事で疲れているんだと思っていたけど...そうじゃないの?」

田村若晴は唇を噛んだ。「私は優里ちゃんが妊娠前うつの傾向があるんじゃないかと疑っているの」

「妊娠前...うつ?」野井北尾の心臓が一気に締め付けられた。「なぜそう思うの?うつ病というのは、明らかな気分の落ち込みとかじゃないの?この分野については詳しくないけど、優里はそんなはずないと思うけど...」