第352章 二人は心が通じ合っていると思っていた

田口義守はため息をついた。「話せば長くなるが、今のこの子は……私たちに会おうともしないんだ。」

「それは彼女が悪い。」老婦人は直接言った。「あなたたちが彼女を甘やかしすぎたのよ。これが松下家なら、こんなに礼儀知らずは許されないわ。」

田口義守と二見玲香は目を合わせ、それから田口義守は頷いた。「わかりました。明日彼女に連絡します。その時は事前にお知らせします。」

老婦人を見送った後、三人はホテルに戻り、田口艶子は言った。「あのおばあさん……まるで古代の封建的な家長みたい。」

「彼女が何であろうと、私たちが彼女と友好的な関係を保ち、松下家との関係が良ければ、他のことは気にしなくていい。」

田口艶子と田口義守がしばらく話した後、振り返ると、二見玲香がぼんやりしているのが見えた。

田口義守は彼女の肩を叩いた。「何を考えているんだ？この数日、よく上の空だな？」

二見玲香は我に返り、まず笑顔を見せた。「この数日、夜によく眠れなくて。」

「ママ、また不眠症なの？」田口艶子は尋ねた。

二見玲香は神経衰弱があり、それが不眠の原因となっていた。

古い病気で、田口義守と田口艶子は知っていた。

「毎日変なことを考えるな。」田口義守は言った。「これからの生活はどんどん良くなる。以前の会社にはまだ田口優里の株式があったが、今はすべて私たちのものだ。」

田口艶子はすぐに頷いた。「そうそう、パパの今度の会社は、彼女とは何の関係もないわ。」

二見玲香は笑った。「大丈夫よ、夜にメラトニンを少し飲めばよく眠れるから。私のことは心配しないで、自分のことに集中して。」

田口義守は言った。「いつもそうだな、自分のことを気にかけない。元旦が過ぎたら、時間を作って一緒に病院に行って検査しよう。」

話している最中に、二見玲香の携帯が鳴った。彼女は手に取って見て、言った。「ええ。友達からの電話だわ、ちょっと出てくるね。」

田口義守は言った。「そうそう、彼女たちとの関係を良好に保つんだ、時には奥様の社交も非常に重要だからな。」

二見玲香は頷きながら寝室に入っていった。

寝室のドアを閉めると、二見玲香の無理に作った笑顔はすぐに消えた。「こんな時に電話してくるなんて、よくも！」

「お金をくれないなら、私はどうすればいいの？」

「つい最近五十万渡したばかりじゃない！」