第351章 彼女の本性を見る

小林也子は大笑いし、笑い声が止むと口を開いた。「私が狂人だって?忘れないで、あなたの体には私の血が流れているのよ。私が狂人なら、あなたもそうよ!」

「そんな無駄な話はしない」野井北尾は彼女と一言も余計に話したくなかった。「今すぐ出て行け、すぐに立ち去れ!」

「なぜ私が出て行かなければならないの?なぜ野井由紀に出て行けと言わないの?」

野井北尾は深く息を吸った。「彼に離婚に同意させる。相応の財産補償も、彼がしなければ私がする」

「いくらでもくれるの?」

「夢を見るな」野井北尾は冷たく言った。「お前は私を産んだ。この命はお前のものだ。この金を渡せば、これからは誰も誰にも借りはない」

「私との関係を金で断ち切りたいの?」小林也子も冷笑した。「少しの金で私を追い払えると思う?」

「適切な金額を用意する」野井北尾は言った。「でも私をカモだと思うな。最悪の場合、全面対決になれば、お前は何も得られない。私は優里ちゃんを守れればそれでいい。他のことは何も恐れない」

「あなたは本当に...情に厚いのね」小林也子は彼を上から下まで見た。「あなたの父親のあの浮気性は、あなたには全く受け継がれていないわね」

「子供の頃からお前たちのそういう姿を見て、吐き気がしたからこそ、お前たちのようになるはずがない」

「吐き気?私たちが吐き気を催すって?」小林也子は嘲笑した。「野井由紀と一緒に暮らすことこそ、本当に吐き気がするわ!」

「だから?なぜ離婚しない?」野井北尾は目を閉じ、また開いた。「もういい、彼に話す。さあ、行け」

「本当に彼を説得するの?」小林也子は考えてから、また尋ねた。「いくらくれるつもり?」

野井北尾と小林也子の間には全く感情がなかったが、彼女が関係を断ち切る価格について尋ねるのを聞くと、やはり悲しさを感じずにはいられなかった。

母親、ママ、なんて美しい言葉だろう。

しかし彼にとっては、それは苦痛でしかなかった。

「お前が満足する金額になるだろう。ただし、あまり欲張るな」野井北尾は言った。「行け。さもなければ、全面対決になれば、後悔するのはお前だと保証する」

「わかったわ、行くわ」小林也子は笑った。「離婚のことを彼に言うのを忘れないでね。それと、金額は高めにしてね。結局、私はあなたを産んだのだから」