第357章 疑惑

「じゃあ、私にどうしろというの?同意するしかないでしょう?」

「叔母さん、私はこう思うんです。あなたが同意して、田口優里が松下家に戻ったとしても、あなたは年長者なんですから、彼女をどう扱うかはあなた次第じゃないですか?それに、時間が経てば、兄さんの新鮮さも薄れていくでしょう」

老婦人は目を上げて彼女を見た。

鈴木真珠は続けた。「その時に何か起こって、二人の間に誤解が生じれば、それも私たち次第ではありませんか?彼らは幼い頃からの感情があるわけではないのだから、どれほど深い絆があるというの?いくつかの誤解や喧嘩に耐えられるでしょうか?」

老婦人の目が輝いた。

鈴木真珠はさらに言った。「最終的には、勝者はあなたです。そう思いませんか?」

そして、秘書は老婦人からの電話を受け、松下牧野に伝えた。彼女は自分の過ちを認め、反省したこと、そしてこれからは良い祖母になるよう努力すると。

松下牧野は秘書に直接言った。「まずは彼女を東京に戻らせろ。他のことは、後で話す」

老婦人は怒りたかったが、必死に我慢して、最終的には東京に戻るしかなかった。

老婦人を通じて松下牧野と良い関係を築こうと夢見ていた田口義守一家は呆然とした。

どうして一言も言わずに帰ってしまったのか?

田口優里を懲らしめるとは言っていなかったか?

彼らはどうすることもできず、松下牧野に連絡する勇気もなく、野井北尾にはなおさら連絡できず、しぶしぶ墨都を離れるしかなかった。

田口義守の会社の進展は順調だったが、最近二見玲香が慈善活動に熱心で、使うお金が少し多かった。

田口義守はこのことについて彼女と相談した。「慈善活動は知名度を上げるのに役立つけど、今はまだ大々的にやるべき時期じゃないと思うんだ」

二見玲香の意見は、「わかってるわ。でも評判が良くなれば、あなたがローンを組んだり、各種パーティーに参加したりするときにも面目が立つでしょう?」

「それはそうだけど、でも今は運転資金が足りないんだよ」

「この前、児童基金会の会長夫人が私に、彼女の夫があなたに地元最大の供給業者を紹介してくれると言ってたわ。ほら、慈善活動をしなければ、彼女は私に関心を持ってくれたかしら?」

田口義守はすぐに目を輝かせた。「本当か?」

「もちろん本当よ」二見玲香は言った。「だから…」