第493章 とても満足でとても幸せ

松下牧野は早起きの習慣がある。

子供と一緒に寝ているせいかどうかはわからないが、小さな子は毎朝5時過ぎには目を覚ます。

松下牧野は彼女を抱き上げて授乳し、その後自分はジョギングに出かけ、運動する。

以前は胃の調子が悪く、養生にも気を配らなかった。

それは彼が人生に少しの意味も感じていなかったからだ。

この世界から早く去ることは、むしろ一種の解放だと思っていた。

しかし今は、健康な体が欲しいと思っている。

田口優里の成長に、彼は参加できなかった。

人生の後半は、田口優里と長く一緒にいたいと思っている。

そのために、彼はわざわざ亀山由美の墓地に行き、彼女にこのことを話した。

「由美さん、もう少し待っていてくれ」彼は墓石の写真に触れながら言った。「優里ちゃんと純奈は私を必要としている。私は離れられない。純奈が大きくなったら、君のところに行くよ」

こんな言葉を、松下牧野はもちろん田口優里に知らせるつもりはない。

亀山由美が殺されたと知った頃、松下牧野は生きているのが辛かった。

田口優里がどれほど心配していたか、彼は知っている。

だから、彼は今、娘と孫娘のために生きている。

そして、田口優里は大人になった。彼は優里の成長の一部を逃してしまった。

父親になり、二人が親子と認め合っても、松下牧野は生活面で田口優里の面倒を見ることしかできない。

しかし野井純奈は違う。

彼は数ヶ月間、子供を丹精込めて世話し、本当におむつを替えたり、自ら全てを行った。

この子育ての喜びは、松下牧野をやめられなくさせた。

また、田口優里はすでに成人している。

必要とされる感覚は、それほど多くない。

しかし小さな子供のところでは、松下牧野は自分が必要とされていると感じる。

今では、野井純奈ちゃんは松下牧野の命と言っても過言ではない。

野井純奈がいなければ、松下牧野は自分が一日生きている意味がどこにあるのかわからないだろう。

彼はトレーニングを終えてシャワーを浴び、その後すぐに子供を迎えに行く。

野井北尾が子供を抱いて出てくると、松下牧野はさりげなく尋ねた。「優里ちゃんは朝何が食べたい?作りに行くよ」

野井北尾は言った。「彼女は今日もう少し寝たいと思っている。後で彼女が何か食べたいと言ったら、私が作るから大丈夫だよ」