奥田梨子は木村工場長たちに挨拶をして、辻本剛司に続いて別の車に乗り込んだ。
「奥田梨子、大丈夫?」
辻本剛司はここ数年、信行が好きなのは奥田梨子だと思っていたが、最近起きた出来事で、自分は間違っていたかもしれないと感じていた。
信行がずっと愛していたのは涼宮陽子だった。
「とても元気よ、本当に」奥田梨子は心からの笑顔を見せた。「いつか、恋人同士が結ばれる日が来たら、私は彼らを祝福するわ」
辻本剛司は彼女の言葉が本心だと感じ、彼女のために嬉しく思った。彼は微笑んで、「前向きになれて良かった。男なんてどこにでもいるさ」と言った。
夜7時過ぎ、車はホテルに到着した。
奥田梨子は辻本剛司におやすみを言い、カードでドアを開けて部屋に入った。
電気をつけると、ソファに座って休んでいる男性が突然目に入り、彼女は驚いて、急いでドアを閉めた。