第45章 ずっとずっと刺し続ける

奥田梨子は自分が危険なことをしていると知っていた。

彼女は深淵に足を踏み入れようとしていた。

一歩間違えれば粉々になってしまう。

川木信行は涼宮陽子を何年も愛し続け、今や子供もいる。彼に涼宮陽子を本当に裏切らせるのは難しい。

でも構わない、奥田梨子は本当に川木信行の心が欲しいわけではなかった。

彼女の目的はただ一つ。

彼女は棘のように、ずっと涼宮陽子の心に刺さり続けたかった。

彼女はあの男女に絶えず誤解を生じさせたかった！

車の外には万家の灯火。

車内の女性の周りは枯れたように冷たく感じられた。

奥田梨子は車を運転してクラブに向かった。

男女がそこで放縦に体を揺らしていた。

彼らは心の中の野望を解き放っていた。

奥田梨子は踊り疲れると、自分に酒を注いだ。

彼女は携帯を取り出した。