第82章 恨みを抱いて

奥田梨子が木村家を離れると、彼女が最初に思いついたのは警察署に行って奥田晶子に事情を聞くことだった。

奥田梨子は木村家を救うためにお金を出すと約束したのではなかったか?

どうして事態がこうなったのか?

奥田梨子のことを考えると、木村玉子の両目には憎しみが宿った。

奥田晶子は娘が自分に会いに来たのを見て、顔に喜色を浮かべた。「玉子、早く奥田梨子を探して、告訴を取り下げるよう説得してくれないか」

木村玉子は目を赤くして、「お母さん、一体何があったの?どうして奥田梨子があなたを訴えたの?」

「私が彼女の孤児院での写真で脅したのよ。あんな子を木村家に引き取るんじゃなかった。恩知らずの女、孤児院で死なせておくべきだったわ」

奥田晶子のような見栄っ張りが、まさか自分の娘に告発されるとは思ってもみなかった。

しかも警察に拘留されるなんて。

彼女は本当に怒り狂っていた。

木村玉子は驚いて、「どんな写真?」

奥田晶子は冷ややかに鼻を鳴らした。「彼女は孤児院で院長に目をつけられたの。院長が写真を私に送ってきて、金を要求してきたけど、私は払わなかった」

「その写真は?」

木村玉子はやや衝撃を受けたが、内心では密かに他人の不幸を喜んでいた。

「他の人に売られたわ。一枚だけ警察の手元にあるけど」

このことに触れると、奥田晶子はうっすらと後悔の色を見せた。

ネガを売るべきではなかった。少なくとも今、ネガがまだ手元にあれば、印刷してネットに流して皆に見せることができたのに。

当時、孤児院から奥田梨子を引き取った本当の目的は、彼女を政略結婚させるためだった。

奥田晶子は考えれば考えるほど後悔した。

「お母さん、私たちこれからどうするの?お金がなければ、私は大谷さんと結婚しなければならないわ」

木村玉子はすっかり心が乱れていた。

実は彼女の心の中にはもう一つの考えがあった。それは深谷市を離れることだ。どうせ彼女の銀行口座にはまだお金がある。

木村家がどうなろうと、どうせ破産するのだから、一人の女の子にはどうすることもできない。

奥田晶子も奥田梨子が今回は本気で彼女を訴えようとしていることを知っていた。彼女は声を潜め、小声で言った。「遠藤剛に行って奥田梨子を探し、大騒ぎしなさい」

木村玉子の目が輝き、考えた後、うなずいた。