畑野志雄の胸を突かれ、彼は仕方なく目を開けた。
表情は少し怠そうだった。
彼は腕の中の奥田梨子も起こした。「仕事に遅れるよ」
昨夜二人は最後まで激しく愛し合った。
奥田梨子はもう耐えられず、明日の朝に会議があるという理由をでっち上げて、彼に急ブレーキをかけさせた。
本当はまだベッドでごろごろしていたかった奥田梨子だが、鈴村烈からの電話一本で起きざるを得なかった。
鈴村烈は彼女に今日早く会社に来るよう催促した。
川木家の人間が会社に来るという。
遠藤剛と川木家は競争関係でありながら協力関係でもあるのだから仕方ない。
「仕事したくないなら、俺が養ってやろうか?」
畑野志雄はすでに起き上がり、長い指でボタンを一つ一つ留めながら、奥田梨子を横目で見た。
奥田梨子は目を細め、あくびをした。「いらない」