第75章 あなたは本当に素直じゃないね

畑野志雄が服のボタンに手をかけたとき、奥田梨子の携帯電話が鳴った。

彼は電話を切ろうとした。

しかし奥田梨子に止められた。

賀来蘭子からの電話だった。

賀来蘭子はビリヤード場に誘っていた。

姉妹の絆より大事なものなんてない。

男は一時的に後回しにできる。

奥田梨子は承諾し、電話を切った後、不機嫌そうな顔をした畑野志雄をなだめてようやく帰らせた。

彼女は急いでドレスに着替え、車を運転してビリヤード場へ賀来蘭子と合流しに向かった。

「梨さん、待ってたよ」

賀来蘭子が小さな手を振った。

ビリヤード場は今夜、賀来蘭子が貸し切っていた。

男女問わず、身につけているもの、手に着けているものはすべてブランド品だった。

ここにいる人たちは皆、セレブサークルの金持ちの若者たちだ。

奥田梨子は一瞥して、これらの人々の何人かは以前川木信行とパーティーに出席したときに会ったことがあると思った。