第107章 もう心変わりしそう

「森田さんは、すでに出国しています。」

木場左近のこの言葉が落ちると、畑野志雄は喉が詰まる感覚を覚えた。

森田綺太は基本的に三観(道徳観、価値観、世界観)を持たない人間だった。

彼は気まぐれに行動し、最も重要なのは、彼がドジョウのように滑りやすいことだった。

非常に嫌な奴だ。

畑野志雄はソファに座り、少し冷たい声で尋ねた。「誠心マンション周辺のすべての監視カメラの映像記録は全部集めましたか?」

彼はテーブルからタバコを取ろうと身を屈めた。タバコを吸おうと思ったのだ。

しかし奥田梨子のことを思い出し、タバコを置き直した。

「映像の一部に、大谷富樹が車を金平通りの角にある駐車場に停めている様子が映っています。」

「彼は歩いて誠心マンションに向かい、路地に入ったきり、再び姿を現していません。また、誠心マンションに入れるもう一つの入口の監視カメラは二日前に故障していました。」

「現在わかっているのは、警察側が下水道で凶器を発見したこと、それに一人の目撃証人がいることです。その目撃証人は真夜中にベランダでタバコを吸っていて、短髪の女性が路地に入るのを見たそうです。彼はその女性の後ろ姿しか見ておらず、奥田さんに似ていたとのことです。」

なんて偶然だ、監視カメラが壊れているなんて。

畑野志雄は何も言わず、考え込んでいた。

木場左近も畑野志雄の今の気分があまり良くないことを察したのか、静かに指示を待っていた。

畑野志雄は考えた後、言った。「人員を増やして調査しろ。それから森田財団の情報システムとコンピュータ設備を破壊しろ。」

森田財団の主要な事業はオンラインショッピングとクラウドサービスで、世界ランキング第6位の企業だった。

どの企業も情報システムとコンピュータ設備を非常に重視しており、彼らの情報システムとコンピュータ設備を破壊するのは実際にはかなり難しい。

木場左近は少し眉をひそめた。「森田さんも、畑野財団の情報システムとコンピュータ設備を攻撃する方法を考えるでしょう。」

彼は明らかにこの方法にあまり賛成していなかった。

「問題ない。畑野財団は最近この分野の防御を強化したから、損失は大きくない」と畑野志雄は淡々と言った。「父はそれを受け入れる能力がある。」