第107章 もう心変わりしそう

「森田さんは、すでに出国しています。」

木場左近のこの言葉が落ちると、畑野志雄は喉が詰まる感覚を覚えた。

森田綺太は基本的に三観(道徳観、価値観、世界観)を持たない人間だった。

彼は気まぐれに行動し、最も重要なのは、彼がドジョウのように滑りやすいことだった。

非常に嫌な奴だ。

畑野志雄はソファに座り、少し冷たい声で尋ねた。「誠心マンション周辺のすべての監視カメラの映像記録は全部集めましたか?」

彼はテーブルからタバコを取ろうと身を屈めた。タバコを吸おうと思ったのだ。

しかし奥田梨子のことを思い出し、タバコを置き直した。

「映像の一部に、大谷富樹が車を金平通りの角にある駐車場に停めている様子が映っています。」

「彼は歩いて誠心マンションに向かい、路地に入ったきり、再び姿を現していません。また、誠心マンションに入れるもう一つの入口の監視カメラは二日前に故障していました。」