第98章 とても奇妙

夜の10時。

奥田梨子は振り向いて、賀来蘭子が彼女に差し出したポテトチップスを一口かじり、微博に投稿した。

彼女は偽の楽田知寄の微博をタグ付けした。

「チャンスを与えたのに、自ら過ちを認めなかったから、すでに裁判所に訴えたわ」

この時間帯はネット上にはまだ多くの夜更かしがいた。

奥田梨子が本物の楽田知寄のアカウントでこの投稿を発表してからそう時間が経たないうちに。

下にはたくさんのコメントが現れた。

【証拠は?証拠を出して皆に見せてよ。ただの言葉だけじゃないの?】

【本気なら証拠を先に出してみなよ】

【オレンジ芸能事務所は藁にもすがってるの?小さな会社が脅迫なんてしてるけど、もう警察に通報したわ】

鈴木文子は訴えられると知って、心の中で不安を感じた。

彼女はその人に電話をかけた。「私を訴えるって言ってるけど、どうしよう?本当に証拠があるの?」

天田さんはメッセージを見て返信した。「心配しないで、今すぐ残りの報酬を支払うわ」

鈴木文子はもちろん心配だった。彼女は動揺していた。

しかし、銀行に60万円が入金されたという通知を見たとき、彼女は動揺しながらも喜びを感じた。

60万円、彼女がアルバイトをしてもかなり長い期間働かないと得られない収入だ。

ただ、この喜びはそう長く続かなかった。

なぜなら、本物の楽田知寄が証拠を微博に投稿したからだ。

奥田梨子は作曲するとき録画する習慣があり、その録画では顔を出していなかった。

彼女は以前、曲を作るたびに録画して奥田橙子に聞かせていた。

そして木村楽人に歌わせた曲の一つは、3年前に奥田橙子の誕生日に彼女が弾いて聞かせた曲だった。

その時、奥田橙子が彼女のために録画していた。

彼女は録画カメラに背を向け、録画には首から下だけが映っていた。

ギターを抱えて、弾き語りをしていた。

奥田橙子のことを思い出し、奥田梨子は微博を閉じた。

「蘭子、お風呂入って寝るわ」

「わかった」

奥田梨子は寝室に入り、ソファに座ってもたれかかった。

目を開けて天井を見つめていた。

彼女は時々なぜか、自分自身に対して嫌悪感を抱くことがあった。

とても奇妙なことだった。

奥田梨子はため息をつき、携帯を取り出して電話をかけた。

相手が電話に出た。