「陽子さん、あそこのデザイナーたちを見て!国際的に有名なジュエリーデザイナーやファッションデザイナーよ!」
「どうして彼らが皆、深谷市に来ているの?」
涼宮陽子は川木敏子の視線の先を見た。
ちょうどグランドホテルのマネージャーが数人のデザイナーたちを連れてレストランに入るところだった。
彼女は婚約式の会場装飾を見に来たところで、国際的に有名なデザイナーたちに出会うとは思っていなかった。
涼宮陽子は婚約式の後の結婚式のウェディングドレスのことを考えた。
結婚式のドレスを国際的に有名なデザイナーに頼めたら、それは自慢できることだ。
以前なら、これらのデザイナーたちは小さな女優の仕事を引き受けなかっただろう。
しかし今の涼宮陽子は自信に満ちていた。
川木財団の会長の婚約者として、これらのデザイナーたちも多少は顔を立ててくれるだろう。
涼宮陽子は彼らに近づき、微笑みながら挨拶した。「タイさん、こんにちは。少しお邪魔してもよろしいでしょうか。」
彼女は数人のデザイナーたちにも微笑みながら挨拶した。
タイさんは外国人だが、中国語が上手だった。
彼は国際的に有名なファッションデザイナーの一人で、彼のデザインは豪華さと優雅さを兼ね備えていた。
多くのセレブたちが彼のデザインスタイルを好んでいた。
タイさんは紳士的に立ち上がり、「こんにちは、お嬢さん」と言った。
涼宮陽子は丁寧に話し、相手の時間を取りすぎないようにした。
「お会いできて本当に嬉しいです。私の婚約者は川木財団の会長で、私は涼宮と申します。もうすぐ私たちは結婚する予定で、ウェディングドレスのデザインをお願いしたいと思っています。」
彼女の率直な物言いに、タイさんも邪魔されたことに不快感を示さなかった。
タイは申し訳なさそうに言った。「現在、別のお客様のオーダーメイドを受けています。」
彼がデザインした二着のドレスは、畑野さんが気に入ったものだった。
涼宮陽子はタイの断りを聞いて残念そうに言った。「ありがとうございます。お食事の邪魔をしてすみませんでした。」
もう一人のデザイナーのアンディは川木信行を知っていた。彼は数年前から川木信行の服をデザインしていた。
ただ、それは奥田秘書が彼に連絡していたのだ。
最近の一年間は、奥田秘書からオーダーメイドの依頼を受けていなかった。