第112章 そうだと思う

帝景マンション。

夜も更けて静かな時間。

主人夫婦の寝室では、明るい灯りがついていた。

川木信行は人をベッドから蹴落としたい衝動を抑えながら、眉をひそめ、冷たく言った。「私の上から降りなさい」

「嫌よ」

涼宮陽子は川木信行が眠りについた後、自分の寝間着を脱ぎ、彼の上に這い上がった。

「試させてよ、どうしてもダメなら病院に行きましょう。きっと治るわ」

二人は譲らず、言い争っていた。

川木信行は頭が痛くなってきた。彼は正常な男性で、本当にできないわけではない。

こうして擦られたり、こすられたりしては。

彼は自分をコントロールできても、生理的反応はコントロールできない。

涼宮陽子がまさに成功しそうになったとき、川木信行は彼女を持ち上げ、ベッドに押し倒した。

彼の視線は涼宮陽子の顔に落ちた。

語気を強めて言った。「医者はもうダメだと言ったんだ。なぜそんなに私を辱めるんだ」

涼宮陽子の瞳孔が少し縮んだ。

しばらく沈黙した後。

彼女は口を開いた。「ちょっと試すだけよ、それもダメなの?」

川木信行は彼女が分からないのを見て、冷たい表情で「隣の部屋で寝る」と言った。

彼はベッドから降り、素早く寝室を出て行った。

涼宮陽子はベッドに横たわり、目を開けて天井を見つめていた。

彼女は心が乱れていた。

すべてがうまくいっていたはずなのに、どうして今こんなことになってしまったのか。

彼女はセックスレスの結婚生活を望んでいなかった。

涼宮陽子は手を上げて中指の婚約指輪を見つめ、怒りに任せてそれを引き抜いた。

彼女は指輪を投げ捨てた。

しばらくして、彼女はベッドから降りて指輪を探しに行った。

きっと奥田梨子のせいだ!

彼はきっと後悔したんだわ!

勃起不全なんて言い訳に過ぎない!!

涼宮陽子は壁の隅から指輪を見つけ、顔の表情が歪んだ。

奥田梨子の周りの人間は全て潰してやる!

涼宮陽子は軽く笑いながら指輪を再び指にはめた。

奥田梨子は木村楽人を救うためにバーに行った、二人の関係はきっと良好なはずだ。

二人とも下賤な女。

まずは木村楽人から始めよう。

涼宮陽子はベッドサイドテーブルから携帯電話を取り、細い指で一連の番号を押し、電話をかけた。

「もう深谷市に来ていいわよ」

「安心して、あの件は誰も知らないから」

朝。