涼宮陽子は今日、「ゴーゴーバー」の収録に行きました。
今回の番組は麗湖で行われることになっていました。
番組に参加するタレントは全員、自分でオールを持って小舟を漕いで対岸に渡らなければなりませんでした。
涼宮陽子の舟は途中で沈没してしまいました。
幸い彼女は泳げました。
制作チームも救助スタッフを用意していました。
彼女が岸に上がった時には、メイクが崩れていました。
岸にはニュースを待ち構えていたパパラッチがいて、彼らは涼宮陽子のメイクが崩れた写真を撮りました。
天田さんは怒りを抑えながら、コートで涼宮陽子を包み込みました。「番組スタッフはどうなっているの?小舟の安全チェックはしなかったの?」
彼女はまず涼宮陽子を車の中に入れました。
「今日はこんなことがあったから、とりあえず収録は中止にしましょう。縁起が悪いわ。」
涼宮陽子も怒って言いました。彼女の怒りはどんどん増していきました。
まさか仕事初日にこんなことが起きるとは思いもしませんでした。
そんな時に限って、綿谷晶から電話がかかってきました。
涼宮陽子は最初は出たくありませんでした。川木信行のことについてまた聞かれると思ったからです。
綿谷晶がメッセージを送ってきたので、涼宮陽子はそれを見て綿谷晶に電話をかけ直しました。「お母さん、お父さんがどうして病院に?」
綿谷晶は今、不安そうに救急室の入り口に立っていました。「陽子、早く成田病院に来て。お父さんが突然倒れて救急室に運ばれたの。」
「わかった」涼宮陽子は眉をひそめ、まず天田さんに一言言いました。「成田病院に行って。」
「お母さん、落ち着いて。一体何があったの?お父さんがどうして突然倒れたの?」
綿谷晶は救急室の大きな扉を見ながら、彼女もよくわからないと言いました。「会社で何かあったみたいで、お父さんが怒りのあまり倒れたみたい。詳しくは田中秘書に聞いて。」
涼宮陽子はお父さんの秘書の携帯番号を知っていたので、田中秘書に電話をして状況を聞きました。
彼女は田中秘書からようやくお父さんが怒りのあまり倒れた理由を知りました。
涼宮家のアパレル会社が空っぽにされたというのです???
そして会社を空っぽにした人物は涼宮満成でした。
涼宮陽子の表情は一瞬で暗くなりました。「涼宮満成は、今どこにいるの?」