川木財団。
「つまり、これからずっと私に貝子に会わせないつもりなの?」
涼宮陽子は顔色が青ざめ、涙を浮かべながら川木信行を見つめた。
彼女は奥田梨子に頭をトイレに押し込まれてから、吐き気で二日間まともに食事ができなかった。
人もやつれてしまった。
今日、川木貝子の世話をしている家政婦が帝景マンションに荷物を取りに戻った。
そこで彼女は川木信行が貝子を今後ずっと緑川マンションに住まわせることに決めたと知った。
涼宮陽子は川木信行に電話をかけたが、ずっと通じなかったため、直接会社に彼を訪ねることにした。
「貝子に会いたいなら、私は止めないよ」と川木信行は淡々と言った。「でも緑川マンションには入れないし、毎回会うときは家政婦が同席する必要がある」
まるで泥棒を警戒するようだった。