第161章 妊婦健診

「招待状はもう奥田梨子に送ったわ。今回のパーティーに彼女は来ると思う？」岸本綾華は顔のお手入れをしながら、娘に尋ねた。

山田青子は哺乳瓶を持って娘を抱きながらミルクを飲ませ、微笑んで言った。「お母さん、安心して。彼女が来なくても、私が何とか来させる方法を考えるわ」

「珠美は本当にいい子ね、おとなしそうだわ」岸本綾華はまず孫娘を褒めてから、頷いた。「あなたのやることは、私たちはとても安心しているわ。今回のパーティーの衣装は準備できた？」

「奥様が手伝ってくださって準備できています」山田青子は微笑みながら言った。

彼方麗佳の処世術はとても優れていた。これは山田青子が畑野家で感じたことだった。畑野当主が奥様をずっと大事にしているのも不思議ではない。

「お母さん、川木敏子の家柄はいいし、彼女は少し天真爛漫なところがあるだけで、悪い趣味もないわ。彼女と烈さんは釣り合うと思う？」

岸本綾華は少し戸惑った様子で「あなたは彼らの仲人をしたいの？則木芳美が求めているのは、学歴が高くて、家柄がよくて、頭が良くて気前のいい嫁よ」

そう言って、彼女は少し口をとがらせた。

山田青子は哺乳瓶を置いて「お母さん、叔母さんに少し話してみてもいいんじゃない？」

岸本綾華は娘の意図を少し理解し、考えてから「いいわ、話してみるくらいならできるわ」

*

今日、奥田梨子は妊婦健診に行く予定だった。今回はエコー検査をして、胎児の大きさを測定する。

唐沢先生は今回奥田梨子に付き添ってきた男性が川木さんではないことに、少し興味を持った。

「胎児は全て正常です。あなたの体調も前回来た時よりずっと良くなっていますね」

「ありがとうございます」奥田梨子は胎児が全て正常だと聞いて微笑んだ。

畑野志雄は奥田梨子の小さなバッグを持ち、唐沢先生にお礼を言った。彼は片手で奥田梨子を抱きながら診察室を出た。

「支払いに行ってくるから、ここに座って待っていて」

畑野志雄は小さなバッグを彼女に渡し、伝票を持って支払いの列に並んだ。奥田梨子は嬉しそうにエコー写真を取り出して見た。

小さな命、なんて可愛いんだろう。

これが母親になる気持ちなのかもしれない。奥田梨子は自分の知らない出自について考え、唇を噛んで微笑んだ。