畑野当主からの電話のおかげで、奥田梨子は気持ちを切り替えた。
ドアがバタンと閉まった。
男は寝室から追い出された。
「……」
この女は畑野志雄のことをとても愛しているんじゃなかったのか?どうして親の反対に遭っただけでこんなに簡単に手放せるのだろう?
彼は顔に笑みを浮かべ、ドアをノックして悲しげな口調で言った。「梨ちゃん、もう僕のことを愛してないの?僕を山田青子という女に差し出して害を与えようとしているの?」
奥田梨子は呆れた。何の話だ。彼女は口をへの字に曲げ、ドアの外に向かって叫んだ。「第三の足はあなたの体についているんだから、他の女のところに行きたいなら、私には止められないわ。寝るから、邪魔しないで」
「とにかく私は帝都市には行かないわよ!」
「……」
翌日目が覚めると、奥田梨子は洗顔を済ませ、目をこすりながら寝室を出た。部屋中に折り鶴が吊るされているのを見て「?」