本当のことを言おう。
奥田梨子はお金に困っていない。
この数年間、オレンジ芸能事務所は文田大輔の管理下で稼いだお金も奥田梨子の生活には十分だった。
そして畑野志雄もお金に困っている人ではない。
二人の考えは一致していた。それは森田綺太とは一切関わりたくないということだ。
あの狂人はすでに死んでいるにもかかわらず。
「私は森田財団の株式を受け取るつもりはありません。信託基金も娘に受け取らせるつもりはありません」
これらのものは奥田梨子にとって熱すぎて手に持てないものだった。
森田夫妻は実際、息子のこのような手配に少し驚き、心の中で疑問を抱いていた。
彼らには森田綺太という一人息子しかいなかった。もし息子が本当にいなくなったら、彼が持っている森田財団の株式を誰に与えるべきか、彼らも関与しないだろう。