「アイアコさん、森田財団との協力を選んでいただき、ありがとうございます。」
奥田梨子は微笑みながら手を差し出し、アイアコと握手した。
きちんと仕立てられたスーツを着たアイアコは、奥田梨子の手を軽く握り、低い声で言った。「奥田社長、今回の協力は私たち双方にとって良い機会です。」
クラウドプロジェクトの初期協力が成功したことは、森田財団の発展に多くの新しいビジネスチャンスと可能性をもたらすことを意味していた。
これは単なる協力ではなく、新たな出発点でもあった。
「アイアコさん、私たちは全力を尽くして、今回の協力がスムーズに進むよう確保します。」奥田梨子は手で案内するジェスチャーをした。
「レディーファースト。」
二人は会議室を出た。
アイアコの目に賞賛の色が浮かんだ。「奥田社長、あなたの能力を信じています。この協力は、私たちが共に輝かしい未来を創造する始まりとなるでしょう。今後の具体的な事項については、私のチームが引き続きフォローアップします。良い協力関係を築けることを願っています。」
奥田梨子は微笑みながら頷いた。「よろしくお願いします。」
アイアコを見送った後、奥田梨子はオフィスに戻り、ようやく少し安堵感を覚えた。
クラウドプロジェクトの協力事項が解決し、彼女の気分は明らかに良くなっていた。
寿村秘書がオフィスに入ってきて、別の件を報告した。「社長、金城源太さんに数人の男性をアレンジする件について。」
奥田梨子は一瞬額に手を当て、少し困ったような笑みを浮かべた。
この復讐の件をほとんど忘れていた。
今や自分が金城家の人間だと知った以上、金城源太を困らせるのはよくないだろう。「その件は一時中止します。」
寿村秘書は頷いて応じた。「はい、社長。」
「運転手に伝えて、昼食は梨志レストランに行きます。」奥田梨子は続けて指示した。
「はい。」寿村秘書は答え、オフィスを出て行った。
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昼時になった。
奥田梨子と賀来蘭子は梨志レストランで待ち合わせていた。
賀来蘭子は爽やかなライトグリーンのワンピースを着て、とても可愛らしく見えた。
彼女は奥田梨子がレストランに入ってくるのを見て、すぐに笑顔で手を振った。