第256章 深谷市に戻る

梨志財団の社員たちは、社長が会社に来るというニュースを受け取り、全員が驚愕した。

彼らの中には、すでに7年間会社に勤めているにもかかわらず、この謎めいた社長に一度も会ったことがない人もいた。

会社の上層部はみな会議室に集まった。

普段はたまにサボりがちな社員たちも、今日は特に真面目で慎重だった。

涼宮梨花は今日、梨志財団に初出勤する日だった。

人事部のお姉さんが熱心に会社の各部門を案内し、「私たちの会社の食堂は2階にあります」と説明した。

涼宮梨花はうなずき、丁寧に「ありがとうございます」と言った。

エレベーターのドアが開くと、威厳のある数人の男性が入ってきた。

人事のお姉さんと涼宮梨花は思わず後ろに下がり、彼らのためにスペースを空けた。

涼宮梨花はふと顔を上げ、中央に立って入ってきた男性を見て、一瞬固まった。