第265章 メルボルンへ

「社長、金城財団の社長が下にいらっしゃいます。お会いになりたいとのことです」

奥田梨子は少し疑問に思った。金城源太が彼女に何の用があるのだろうか?

「上がってもらって」

寿村秘書は承知しましたと答え、下に行って金城源太を案内した。

しばらくして、金城源太が社長室に入ってきた。

奥田梨子は顔を上げて金城源太を一瞥し、冷淡な態度で「金城社長、どうぞお座りください」と言った。

金城源太はソファに座り、遠回しな言い方はせずに直接切り出した。「奥田梨子、昨夜の深夜、お母様が救急室に運ばれました」

奥田梨子はゆっくりとキーボードを数回叩いた。

彼女は金城源太の言葉を聞いて、今日彼が訪ねてきた理由がおおよそ分かった。

彼女は椅子に気ままにもたれかかり、「私は医者ではありませんが、なぜそのことを私に話すのですか?」と言った。