翌日の午後、2時ちょうど。
森田鳴海と森田翔太たちが病院にやってきた。
「奥田梨子の体調はあまり良くないのか、なぜこんなに長く入院しているんだ?」森田鳴海はエレベーターの中に彼らだけしかいないのを見て、口を開いた。
「彼女の調子がどうであろうと、私たちには何の関係もない。森田家の人間じゃないんだから」森田武志は冷たく言った。
エレベーターのドアが開き、彼らは奥田梨子の病室へ向かった。
病室に入ると、中には森田家以外の株主たちもいることに気づいた。
森田鳴海と森田翔太は顔を見合わせた。
おかしいな、なぜ他の株主たちもここにいるのだろう?
奥田梨子は微笑んで、ソファを指さし、森田鳴海たちに座るよう促した。
岡部俊雄が彼らにお茶を注いだ。
「私の体調の関係で、今日は皆さんに病院まで来ていただいて申し訳ありません」奥田梨子は丁寧に言った。
田中という姓の株主は性格が急で、彼は単刀直入に尋ねた。「奥田社長、今日私たちを呼んだのは、どんな話があるのですか?」
奥田梨子は穏やかに微笑んだ。「遠回しな言い方はしません。森田鳴海たちが手持ちの株式を売却したいとのことで、私はそれをすべて買い取るつもりですが、市場価格でしか対応できません」
他の株主たちは森田家が株式を売却するという話を聞いて、互いに顔を見合わせ、非常に困惑していた。
何の問題もないのに、なぜ株式を売却するのだろう?
田中株主は困惑して尋ねた。「私たちの会社は...何か問題でも起きたのですか?」
会社が利益を上げているなら、誰が手持ちの株式を手放したいと思うだろうか、バカなのか?
森田鳴海たちは瞬時に奥田梨子の意図を理解した。彼女は森田家が突然株式を売却することで他の株主たちが不安になることを心配し、だからこそ今回すべての大株主を呼んだのだ。
森田鳴海は手持ちの株式を売却できないことを非常に心配し、急いで笑顔で説明した。「田中株主、会社の業績は確かに良好です。ただ、森田財団はすでにバッグバッググループになってしまい、家族としての意味がなくなったので、撤退することにしたのです」
田中株主はまだ疑問を持っていたが、それ以上は質問しなかった。
奥田梨子は穏やかに頷いた。「森田家の考えは理解できます。結局、会社は今やバッグバッググループと呼ばれていますからね」