第023章：久保清森の何がいいのか

来る時は綾部久辰が彼女を送ってきたため、彼女は車を運転していなかった。今、パーティーを早めに離れたいと思っても、久辰に車を借りなければならなかった。

彼女が興味なさげな表情でパーティーを離れたいと言うのを見て、久辰は提案した。「もう飽きたの？一緒に出かけて一杯どう？」

「いいえ、家に帰りたいの」

「ちっ、本当に面白くなくなったね」久辰は不満そうに文句を言い、ポケットから携帯を取り出して自分の運転手に電話をかけ、古川真雪を送るよう指示した。

電話を切った後、彼は続けて言った。「さっきお酒を少し飲んだから、運転手に送ってもらった方がいいよ」

真雪は異議なく頷き、通りがかったウェイターのトレイからシャンパングラスを一つ取った。

彼女は少し顎を上げ、シャンパンを一口飲んだ後、前方のある場所を見つめながら、物思いにふけるように尋ねた。「久辰、久保清森のどこがいいのかしら？あんなに多くの女性が彼に心を奪われる価値があるの？」

久辰は真雪の視線の先を見ると、無表情の清森が次々と美女たちに囲まれ、何かを話しているのが見えた。

よく見れば、彼の顔に少し苛立ちの色が浮かんでいるのがわかった。

久辰は面白そうに困惑した表情の真雪を横目で見て、「姉さん、その質問の答えは僕より姉さんの方がよく知ってるんじゃない？」

その言葉の裏には、かつて真雪もこれらの女性たちの一人だったことを思い出させるような意味が込められていた。

「やっぱり恋愛中の女は盲目ね。今、正常に戻って彼を見ると、どこを見ても気に入らないわ」

真雪の返答に久辰は言葉を失って笑い、心の中で真雪と清森が一体どんな理由で離婚したのか、より好奇心が湧いた。かつては清森を神のように見ていた真雪が、今では彼をこれほど嫌っているなんて。

あまりにも好奇心が強かったため、彼はついに我慢できずに尋ねた。「姉さん、なぜ清森と離婚したの？」

「なぜかしら？」真雪は妖艶な桃の花のような目を細め、「なぜ」と小さく呟いた。彼女の表情は思考に沈んだ状態になり、まるで久辰の質問を真剣に考えているかのようだった。

しばらくして、彼女は久辰に向かって軽く瞬きをした。頭上のクリスタルシャンデリアの光が彼女の漆黒の瞳に降り注ぎ、まるで無数の星が彼女の目の中で輝いているかのように、比類のない輝きを放っていた。