いつものように、メッセージの内容は一枚の写真だけだった……写真の中で久保清森は優しい仕草で脆弱な夏目宣予を支えていた。
一目見ただけで、彼女はスマホをロックし、再びベッドサイドテーブルに戻した。
また一つ、眠れない夜が訪れた……
……
レストランのオープンが近づくにつれ、古川真雪はますます忙しくなっていった。
ここ数日、ランチタイムになると清森は新鮮なシャンパンローズの花束を買い、車でレストランに向かい真雪に会いに行っていた。
しかし真雪の彼に対する態度はますます冷淡になり、まるで彼が目に入らないかのような程度にまでなっていた。
清森は心の中で少し気落ちしていたが、それでも諦めることなく、粘り強く彼女に接触し続けた。
レストランのオープンまであと二日というこの日、真雪が仕事を終えると綾部久辰から電話があり、彼の家に来るよう言われた。オープン祝いのプレゼントを渡したいとのことだった。
真雪は別の日に届けてもらおうと思ったが、久辰は彼女に自宅に来るよう強く主張した。
真雪は彼の頑固さに負け、帰宅前に彼の家に立ち寄ることにした。
久辰の家の玄関に着いたとき、真雪はしばらくインターホンを押したが誰も出てこなかった。
「どういうこと?」彼女は小声で呟き、バッグから携帯電話を取り出した。
久辰に電話をかけようとしたとき、突然携帯が震え、久辰からのメッセージが届いた。
【姉さん、暗証番号は378902だから、自分で入ってきて。】
真雪は口をとがらせ、久辰が何を企んでいるのか分からなかったが、暗証番号を入力し、ドアのロックが解除されるとドアノブを回して中に入った。
ドアを開けるとすぐに、一つの影が彼女の前に飛び出してきた。「ようこそ!」
久辰の突然の出現に真雪は本当に驚いた。彼女は目を白黒させ、不機嫌そうに言った。「殴られたいの?」
久辰はへつらうように笑いながら言った。「へへ、姉さん、久しぶりに会えて興奮しちゃってさ」
「あなたの狐の尻尾はもう天まで届きそうね。言いなさい、また何か企んでるの?」
真雪は玄関で靴を脱ぐと、リビングルームへと歩いていった。
久辰は彼女の後ろについて行き、彼女の疑わしげな口調を聞いて、顔の表情が一瞬こわばった……やれやれ、彼女の目からは何も逃れられない。