吉田語春はさらに続けて言った。「久保清森は確かにクズ男です。かつてあなたが命と思っていたのに、それを大切にせず、失ってから追いかけてくる。
でも、11年間の感情を、たった11ヶ月足らずで本当に手放せたとは思えないんです。
もし本当に手放せたなら、あなたの性格からすれば、とっくに清森をきっぱり拒絶しているはずです。結局のところ、あなたがまだ彼のことを気にかけているからこそ、ただプライドが邪魔して本当の気持ちを隠しているだけなんです。
人生は短いです。なぜこの限られた時間の中で、自分がしたいことをせず、愛したい人を愛さないのですか。
だから...私が以前のように気取ったりしないでください。もし本当にまだ少しでも清森のことを気にかけていて好きなら、彼にもう一度チャンスをあげてみてはどうですか。それはあなた自身にもチャンスをあげることになります。
もし良い結果になれば、それは収穫ですし、合わないと感じたら、その時に諦めて次の人を探せばいいじゃないですか。」
習慣が身についた後、それを無理に変えようとすると、人は空っぽになったような気分になるという。
11年という時間は友情を恋愛に変え、恋愛を家族愛に変えることができる。清森が真雪に慣れ親しんでいるのは当然のことだ。この11年間、彼女はずっと彼のそばにいて、彼の生活の欠かせない一部となっていたからだ。
そして...習慣を形成したのは清森だけではなく、真雪もそうだった。ただ彼女自身がそれを認めたくないだけだった。
語春の言葉が終わると、車内は突然静寂に包まれた。
彼女は真雪が自分の言葉を心に留めたかどうかわからなかった。真雪の心には結び目があり、すぐには解けないだろうとわかっていた。
語春が真雪にこのような話をしたのは、清森から頼まれたからというだけでなく、真雪の親友として、彼女が幸せで楽しく過ごせることを願っていたからだ。
車がナイトクラブの入り口に到着すると、真雪はようやく漂う思考から戻ってきたようで、先ほどの途方に暮れた表情はもうなかった。
彼女は先ほどの話題を続けず、赤い唇を少し上げ、派手な笑みを浮かべた。
「行きましょう、リラックスさせてあげる」
「黙に連絡した?」
「したわ。彼は少し用事があって、遅れて来るかもしれないって」
「うん、じゃあ先に二人で楽しもう」