あの日の祝典以来、久保清森は古川真雪を追いかけるモードに入った。毎朝、決まった時間に真雪の家に現れては、新鮮なシャンパンローズの花束を届け、起きたばかりの彼女のために朝食を用意するようになった。
朝食を済ませた後、二人はそれぞれ仕事へと向かうが、昼食の時間になると、清森はまた決まって彼女のレストランに現れ、真雪と一緒に昼食を取るのだった。
真雪もついに彼をレストランのスタッフに正式に紹介した。そのことに、清森はとても満足し、少し得意げな様子を見せていた。
二人の間のやり取りについて、最初に文句を言ったのは副支配人の越智均策だった。清森が昼食を終え、しばらく居座った後にようやく帰った後、彼は真雪に近づき、真面目な顔で尋ねた。「社長、毎日店内で恋人自慢をされると、私たちみたいな独身者にはかなりのダメージだと思いませんか?」
真雪は彼を一瞥し、苦笑いしながら言った。「ごめんなさい、そこまで考えてなかったわ」
均策は傷ついた表情で首を振った。「以前は社長が一番思いやりのある方だと思っていました」
真雪は目を細め、その眼差しには多少の脅しが含まれていた。彼女は不気味に尋ねた。「今は?」
まるで「きちんと答えないと今日この店から出られないわよ」という雰囲気だった。
均策は彼女の迫力を感じ取り、へつらうように笑って言った。「今は思いやりがあるだけでなく、優しくて親切で、とても愛情深い方だと思います!」
「ふーん」真雪は傲慢げに頷いた。
均策が口を開く前に、一人のウェイトレスがドアをノックして真雪のオフィスに入り、二人の会話を中断させた。「社長、お客様がお呼びです」
「え?誰?」
「白川思花と名乗る方です」
白川思花?
真雪はほとんど気づかれないほどわずかに眉をひそめた。前回、吉田善絵の夫が清森によって正体を暴かれ、善絵と思花の家族が仲違いして以来、真雪は思花に会っていなかった。今回彼女が訪ねてきた理由が何なのか、また何か問題を起こしに来たのかもしれないと思った。
「わかったわ、ありがとう」
「どういたしまして」ウェイトレスは丁寧に頭を下げ、オフィスを後にした。
真雪はオフィスチェアから立ち上がり、優雅な足取りでオフィスを出た。均策も彼女の後に続いてオフィスを出た。
ウェイトレスの案内で、真雪は2階で思花がいる個室を見つけた。