第81章 日常の口喧嘩

この時、霧はほとんど晴れていて、青い海面には徐々に朝の光が映り始めていた。

遠くない場所で2、3頭のイルカが水面から飛び出し、大きな水しぶきを上げていた。

生中継のカメラも朝比奈初が指し示した位置にゆっくりと調整され、画面を少し拡大して視聴者にもジャンプするイルカがはっきりと見えるようにした。

イルカたちは3頭から5頭の群れで現れ、全部で十数頭ほどいた。時々水面から飛び出す姿が見え、中には体全体を跳ね上げ、空中で高難度のバック宙を決めるものもいた。

九十九聴はスマホを持ち、少し興奮した様子で言った。「今のを録画したよ。さっきのイルカ、すごく大きかったね。しかもアクロバティックなジャンプもできて、可愛すぎる」

【ああああ私も!!録画した録画した、さっきの映像本当に好き】

【見た人は幸運!ちょっとだけお願いごとしよう、来年の大学院試験に合格しますように〜】

【やっぱり早起きは三文の得ね、番組スタッフについていって本当に目の保養になった】

【すごい!鯉の滝登りを見ているような感じだねハハハ、スクショして記念に残そう、私もその場で見たことにしておこう】

【イルカを見て日の出も見て、今日は無駄じゃなかった。こんな美しい景色を見せてくれた番組スタッフに感謝】

【今日の午後で撮影が終わることを覚えているのは私だけ?うぅ、こんな素敵な景色、本当に名残惜しい】

少し近づくと、イルカの低い鳴き声が水しぶきの音と一緒に聞こえてきた。

聴は横で聞きながらとても喜び、思わず真似して鳴いてみた。

若月悠は聴の方を向き、目に疑問の色を浮かべた。「本当にイルカってそんな鳴き方するの?」

「違うの?こんな風に鳴くよね」聴は悠にもっとよく分かってもらおうと、さっきと同じように鳴いてみせた。

悠は無理に笑いながら、どう評価すればいいのか分からない様子だった。

しかし、長谷川一樹の視線が聴の方に向けられ、冷たく一言。「豚だけがお前みたいに鳴くんじゃないの」

【笑い死にそう、長谷川この二日間のナイフは全部聴に刺さってる】

【聴表情:皮肉を感じました】

【まさに小学生の日常的な言い争いだねプフハハハ】

【お坊ちゃまは朝比奈以外なら誰にでも反論できるし、しかも毒舌だから誰も逃げられない】

【豚も「関わらないでくれ」って言いそうハハハ】