第87章 良い物語は埋もれることを恐れない

「監督、私は神様じゃないので、拝まないでください」朝比奈初は黒田監督の興奮した反応に思わず笑ってしまった。

監督は我に返り、自分の失礼に気づいて、すぐに手を下ろした。

監督は彼女に何か共感するものを見出したのか、思わず初に愚痴をこぼし始めた:

「私はこの数年間、いくつもバラエティ番組を制作してきましたが、どれも大して注目されませんでした。やっとの思いでこの田園スローライフ系の番組を作り、少し反響が出てきたところなんです。だから本当にこの番組をもっと良くして、続けていきたいんです」

「視聴者に前向きなメッセージを伝えようとしているところ、私は本当に好きです」初は落ち着いた様子で言った。「監督、もっと自信を持ってください」

今は皆の生活水準が向上し、多くの若者はまだ一部の地域が食べ物にも困り、暖かい服さえ着られないほど貧しいことを知らないかもしれない。だから彼はこの番組の第一シーズンを始めたのだ。

当時、監督にも自信はなく、こういった田舎に下る系の番組が視聴者の好みに合うかどうか心配していた。

幸いにも今はニューメディアの時代で、ライブ配信という形で宣伝・広報を行い、視聴者に農村の実際の生活を伝えることができる。

番組が徐々に注目されるようになると、スポンサーも自ら門を叩くようになり、番組に協賛してくれるようになった。有名なブロガーたちも無償で番組の宣伝を手伝い、非常に良い効果を上げている。

監督:「朝比奈先生、あなたは知らないかもしれませんが、もしこの番組のゲストが全て一般人だったら、誰も見ないと断言できます」

今シーズンの番組が招いたタレントゲストはトップクラスとは言えないが、それなりに人気のある小さな流行スターたちだ。前シーズンの人気も後押しして、最初は確かに彼を少し有頭にさせた。

この二回の収録を観察した結果、監督はかなり深刻な問題に気づいた。

彼がお金を払って招いたこれらのタレントゲストは、みな裕福な家庭出身で、苦労をあまり知らず、手先の器用さも良くない。経験者が見れば、これらのタレントが甘えていると思うだろう。

一方では視聴率のための話題作り、もう一方では番組の内容の質を高めたい。

両方を手に入れようとしても、そう簡単にはいかない。