朝比奈初が最後の葉を折り終えると、彼女は後ろを振り返り、篠田佳子の畑がまだ4分の1しか耕されていないことに気づいた。
見渡すと、斎藤家の兄妹はかなり速く進んでいて、元々雑草だらけだった土地はすでに半分以上片付いていた。
他の二組との差を見て、初の目に複雑な表情が浮かんだ。
しばらくして、彼女は横にあった水バケツを横にして、軽く押すと、それが長谷川一樹の足元まで転がっていった。
一樹はこの突然の行動に戸惑い、頭を上げて彼女を不思議そうに見た。
初は彼に指示した。「水を汲んできて」
「水は何に使うの?」
初が答えないのを見て、一樹はそれ以上この件にこだわらず、バケツを持って立ち上がり、水を汲みに行った。
間もなく、一樹は満杯の水バケツを持って戻ってきた。その時、初はすでに畑の端に立っており、手には赤い柄杓を持っていた。
彼女は一樹にバケツを端に置くよう指示し、さらに畑の中の鍬を拾うよう言った。
「何をするつもりなの?」一樹は彼女の考えを全く読めず、彼女が何をしようとしているのかも分からなかったが、何も知らない状態でも積極的に初に協力していた。
初はかがんで、容器でバケツから水をすくい、それを畑にまきながら、一樹の先ほどの質問に答えた。「もちろん畑に水をやって、土を柔らかくするためよ。そうしないと、あなたがその鍬を使い続けたら、いずれ壊れてしまうわ」
「……」水が土質を柔らかくできるなんて、なぜ自分は思いつかなかったのだろう!
【これは確かにいい方法だね、朝比奈さんの考えは細やかで行き届いてる】
【やっぱり細部が成功を左右するよねwwww】
【朝比奈さんは本当に美貌も知性も兼ね備えてる、こんな賢い美女に私は一目惚れしちゃった】
【朝比奈初:私が頼りにしているのは力ではなく、知恵よ】
初が水を畑にまいた後、彼女は振り返って一樹がまだ動かずに立っているのを見て、深い瞳に驚きの色が浮かんだ。「仕事をしなさい、何をぼんやり立ってるの?」
一樹は驚いて瞬きし、まるで聞き間違えたかのように信じられないという様子で尋ねた。「今?」
彼女は彼を見上げ、呆れたように言った。「明日だとでも言ったかしら?」
「……」本当に気まぐれな女だ。
さっきまで休めと言っていたのに、それからどれだけ経ったというのに、また働けと言う。