長谷川一樹はしばらく座り込み、目の前の肥料を撒いた畑を見つめながら、心の中で何度も葛藤していた。
彼は心の壁を乗り越えられないなら、もうやめて朝比奈初を呼び戻して彼女に任せようかとも考えた。
一樹は頭を上げて周囲を見回し、初の姿を真剣に探したが、彼女はなんとクワを持って篠田佳子のところへ行ってしまったことに気づいた。
「……」自分の担当区域には関心がないくせに、他人を手伝う余裕はあるらしい。
まあ、彼女の善意を考えれば、今回は見逃してやろう。
最後に彼は決心を固め、マスクの包装を破り、立ち上がってホウレンソウの種を持って畑へ向かった。
【長谷川一樹がなんで苦悶の表情してるんだよww】
【マジで世間知らずのお坊ちゃまには辛いよね、マスク越しでも苦しそうな表情が伝わってくるわ】
【名場面キタコレwwwwww】
【お坊ちゃま頑張れ、責任は自分で取るんだぞ】
【一樹のあの表情、マジで笑い堪えられないわwwww】
斎藤姉弟のほうは最初はすべて順調に進んでいたが、途中でトラブルが発生した。
彼らのクワの柄が抜けてしまったのだ。
斎藤彩はしゃがみ込み、完全に外れたクワと木の柄を見つめながら、眉間にしわを寄せ、どうしようもない気持ちになった。
彼女は土に埋まったクワを取り出し、顔を上げて央を見た。その目には助けを求める信号が込められていた。「どうしよう?」
央はクワが外れたのを見て、呆然としていた。「壊れた?」
「外れただけで、壊れてないわ」
「見せて」
央は彼女の手からクワと木の柄を取り、地面から小さな木片も拾い上げ、クワの柄と木片を元の位置に戻した。
しかし今は金槌がないため、木の柄をしっかり固定することができない。そこで央はクワを立て、クワの底部を硬い平地に強く打ちつけ、しっかりと固定しようとした。
しばらくして、央はクワが使えるようになったと判断した。
彼は畑に戻り、修理したばかりのクワを試してみると、使えることがわかり、土を耕し続けた。
しかし、このクワは2分も持たずに再び緩んでしまった。
央は仕方なく作業を中断し、クワの修理に戻った。
彼らがクワを修理している間に、一樹はすでに種をまき終え、土をかぶせる作業に取りかかっていた。
佳子のほうは初の加入により、徐々に他の出演者たちの進度に追いついていった。