第160章 値段を言ってください

長谷川千怜は経済的に余裕ができてから、お金の使い方が大胆になった。彼女は首のマッサージ器を買いに行き、自ら効果を試してみて良かったし、操作も簡単で使いやすかったので、すぐに購入した。

「このマッサージ器、使い心地がとても良いわ。お祖母さんはきっと気に入ってくれるはず」千怜は小さな手をこすり合わせながら、お祖母さんがプレゼントを受け取った時の嬉しそうな顔を想像して期待に胸を膨らませていた。

朝比奈初は彼女が適切なプレゼントを選んだのを見て、感心して言った。「あなたって、意外と気が利くのね」

少し前のことを思い出すと、千怜はスチーム式アイマスクを買う時でさえあちこちで値切っていたのに、長老へのプレゼントとなると、まばたきひとつせずに購入できるのだ。

「当たり前でしょ、彼女は私の大切なお祖母さんなんだから」

おそらく隔世の縁というものだろう。千怜たちがお祖母さんを訪ねる度に、まるで王様のような待遇を受け、美味しいものや楽しいものが山ほど用意され、お祖母さんの家を離れる時には大小の荷物を抱えて帰ることになる。

今では彼らは学業やキャリアに忙しく、年末年始の時だけ全員揃って家で食事ができるようになっていた。

千怜は顔を上げて、好奇心を持って初を見た。「何か買いたいものはある?」

初は周りを見回したが、興味を引くものは見当たらないようだった。

「もう少し見てみましょう」と彼女は言った。

彼女は千怜についてマッサージ器を買った後、近くを一周してみたが、売られているものはほとんど高齢者向けではなく、買って帰っても使われないだろうと思った。

千怜はもう見るところがなくなったと感じ、ゆっくりと足を止めた。そして閃いたように、初の方を向いて言った。「下にもう一階あるわ。見に行かない?お金持ちの小さな天国よ。あなたなら絶対気に入ると思う」

初はやや驚いた様子で聞き返した。「お金持ちの小さな天国?」

「そう、とにかく私には手が出ない場所だけど、あなたなら気に入ると思うわ」

ちょうど下の階には様々な魅力的な店が並んでいた。金製品や宝石、翡翠の腕輪など多種多様で、透明なガラスのショーケースと冷たい白色の照明が相まって、その輝きは言葉にできないほどだった。

ここを通る人は誰もが金の放つ光を無視できず、初が降りてきた時も中に入って少し見ていた。