「聞かれたからには、必ずしもそうとは限らないと思います」朝比奈初は突然右側を指差した。「ミネラルウォーターです」
監督は彼女の答えを理解していないようで、辛抱強く朝比奈初に確認した。「結局どっち?」
初は視線の端で監督の様子をさっと確認すると、静かに手を引っ込め、確信に満ちた口調で言った。「ミネラルウォーターです。左側のです」
彼女が最終的な答えを言い終えると、監督は2、3秒呆然としてから我に返った。
彼の顔には驚きの色が浮かび、ゆっくりと口を開いた。「正解だ」
【笑った、監督は人生を疑ってるだろうね】
【朝比奈が適当に当てたのは見え見えだけど、彼女にはある程度運があるみたいで羨ましい】
【この当て方、正確すぎない?台本あるんじゃない?一発で当てるなんて信じられないんだけど】
【初の説明が楽しみ。マジで神ってる、うぅ】
若月悠は驚きの眼差しを初に向け、驚いた口調で言った。「え?これで当てたの?」
初は平然と眉を少し上げ、淡々と言った。「監督が正解だと言ったので、正解なんでしょう」
彼女はさっきは適当に当てただけだった。そして監督が突然質問してきたとき、表情を観察して判断し、監督の反応を試してみたら、大体答えが分かったのだ。
第2ラウンドでは、監督は出演者が気づかないうちに2つのグラスの位置を入れ替え、再び初を呼んで識別させた。
監督は袖をまくり上げ、大仕事に取り掛かる様子で初に向かって強気に言った。「今度は当てられないだろう」
初は何も答えず、前に進み出ると再び手を上げ、ミネラルウォーターと唱えながら手を行ったり来たりさせた。
監督は向かいに座って数を数え、初はこっそり監督の表情の変化を観察し、監督が「1」と数えたとき、彼女の手はまだ左側に止まっていた。
「このグラスは何?」
初は言った。「ミネラルウォーターだと思います」
監督は彼女の自信に、どちらがミネラルウォーターか忘れそうになり、確認のためにグラスを取って自ら一口飲んだ。「ミネラルウォーターだ...どうやって当てたんだ?」
彼は自分が設定したゲームに問題があるのではないかと疑い始めていた。
どうして誰かが肉眼でミネラルウォーターと塩水をそんなにはっきり区別できるのだろうか?
初は監督の困惑した表情を見て、自信に満ちた笑みを浮かべた。「適当に当てました」