【監督の顔に無力感が満ちているのを見て笑っちゃった】
【朝比奈さんの手法は確かに効果的ね、長谷川一樹もコツを掴んだみたい】
【今度私も同じ方法で夫を試してみよう、嘘をついてないか確かめたい】
【監督:このダメ人間でも答えを当てられるなんて、このゲームはもう成立しないな】
長谷川一樹は監督の生きる気力を失ったような反応を見て、一瞬固まってしまい、自分が正解したことが信じられないほどだった。
2回目の判別になると、監督は真剣になり始めた。相手が一樹だからこそ、このまま負けるわけにはいかない、面子が保てなくなる。
監督は一樹を見て、彼が大雑把なタイプだと判断し、さっきのは単なる偶然だと思った。
自分の判断が正しいことを証明するため、監督は背筋を伸ばし、テーブルを軽く叩いて合図した。「さあ、もう一度当ててみろ。今どのカップが塩水か教えてくれ?」
一樹は監督の強気な口調に圧倒され、突然判断力を失ったかのようになった。
監督が急に攻勢に出たのを見て、朝比奈初は傍観者として面白がるように一樹を煽った。「思い切って当ててみなよ。間違えたって大したことないでしょ」
実はこういう状況の方が当てやすいものだ。相手は感情を表に出しやすく、試す時に変更する余裕がない。最初に間違えると相手は興奮して止めようとするかもしれないからだ。
他の出演者たちも一樹に迷わず適当に選べと言った。どうせ残り2回のチャンスしかないのだから、大した影響はない。
一樹は彼らの言葉を聞き入れ、適当にカップを指さした。
監督は彼が選んだのが純水だと確認すると、口角を上げ、目に狡猾な光を宿して言った。「間違いだ、これは純水だ」
「……」何を喜んでいるのかわからない。
【監督の日常の憂鬱を治せるのは一樹くらいかもね】
【監督:やっと番組の監督らしくなれた、お前たちが見抜けない企画もあるんだぞ】
【朝比奈さんから学んだ技だから、坊ちゃん頑張れ!監督に手加減して姉さんの顔に泥を塗るなよ!】
【朝比奈さん曰く、この子はまだ修行中だから、いじめないでって】
【この監督、朝比奈さんの前では存在感出せないから、今度は坊ちゃんをからかい始めたわね。急に二人とも子供っぽく見える、小学生みたいに勝ち負けにこだわってる感じ】
一樹のこの一度の失敗で、監督は本当に調子に乗ったようだった。