第70章 独学で成功

朝比奈初は黙って視線を戻し、外に出て長谷川一樹を探しに行った。

真剣に串焼きを担当している長谷川一樹は、背中だけが映っただけでも視聴者を興奮させるほどだった。

【見て!前にいるのは何?真剣に串を焼いているお坊ちゃまよ】

【やっぱり真剣な男性って魅力的だよね、後ろ姿でもかっこいい】

【彼って結構おとなしいと思うんだけど、なんでアンチが多いの?】

【長谷川一樹は時限爆弾みたいなものだからwww、デビューしたばかりの頃は私も彼が良いと思ってたけど、後になって彼の性格のせいでスキャンダルが多発して、好感度が下がったんだよね】

朝比奈初はゆっくりと歩み寄り、彼の後ろから現れ、そして彼の隣に立った。

長谷川一樹は彼女が戻ってきたのを見ると、すぐに焼き台から鴨の腸を一串取り、朝比奈初に見せた。「見てみて、火は通った?」

一樹が鴨の腸を差し出した時、初は両手を腰の後ろで組み、身を乗り出して近づき、一目見た。

「いいじゃない、油を塗るのも知ってるんだ」鴨の腸の表面に油の光沢が見えて、初は内心喜んだ。

彼女はさっき斎藤央たちのところにいたとき、彼らが本当にバーベキューを理解していないことに気づいた。どの食材も直接グリルに置いていた。

彼女は前に一樹に簡単に説明しただけで、油を塗ることについては触れていなかった。まさか彼が自分で油を塗るとは思わなかった。

一樹は目を伏せ、小声で言った。「油がないと焦げると思って」

これは彼が家でステーキを焼き始めたときからの話だ。

一樹は油がないとフライパンにくっつくことを知っていた。何も分からなかったので、バーベキューも同じ原理だと思ったのだ。

【お坊ちゃまが独学で成長したね、朝比奈さんはとても喜んでるよ】

【いいねいいねwww、少なくとも斎藤央と若月悠よりは理解してる】

【長谷川一樹、さっき朝比奈さんの話を盗み聞きして、こっそり鴨の腸に油を塗ったんじゃない?】

【斎藤央も確か名家の出身だよね、料理はできるけどバーベキューはできない、こういうものを食べたことすらないかもね】

【どう見ても、この点は素晴らしい、長谷川一樹に拍手】

初は彼から鴨の腸を受け取り、引き続き串を焼くよう促した。