第208章 修羅場

彼女の瞳はいつも笑みを湛えているようで、笑うたびに目元が三日月のように弧を描き、頬にはえくぼが現れる。その笑顔には人を引き込む力があり、目が離せなくなるほどだった。

細長い指がスカーフの結び目に触れ、指先が鎖骨の柔らかな白い肌に触れる。朝比奈初は軽く引っ張ると、スカーフがほどけた。

彼らの通話がもうすぐ終わるので、この後初は服を着替えなければならない。だからいっそのこと先にスカーフを外しておいたのだ。

「……」長谷川彰啓は一瞬ぼんやりとして、初の首に巻かれていたスカーフがどうやって彼女の手の中に移ったのか、はっきりと見ていなかった。

初はスカーフを手に握りしめ、自分の顔を見せた。彼女は画面上の男性を見上げ、静かに言った。「切るね、バイバイ」

「ああ、早く寝ろよ、おやすみ」

——

三日後、第五回のバラエティ番組の収録が始まった。

生放送の収録地は四季を通じて春のような都市が選ばれた。ここは気候と環境が良いだけでなく、豊かな民族文化も持ち、今日まで最も原始的な民族文化が保存されている場所だった。

六人のレギュラーメンバーは収録前に番組の規定に従って現地の民族衣装を着用し、順番に生放送スタジオに入った。視聴者数が徐々に増えてきた後、スタッフは新しく加わった二人のレギュラーメンバーを観客の視界に入れるよう指示した。

最初に登場した女性レギュラーは前回も番組に出演していた張本詩織だった。「ハロー、会場の皆さん、視聴者の皆さん、張本詩織です。また戻ってきました」

「皆さん、こんにちは。女優の佐伯莉子です。今年27歳です」次に登場したもう一人の女性ゲストは佐伯莉子で、地域の特色ある頭飾りを身につけていたが、遠くから見るとあまり特徴がないように見えた。

【あれ…張本詩織はもう番組の常連なのに、なんで神秘的なゲストとか言ってたの?あの日あんなに長く考えたのに損した】

【佐伯莉子は確か第三回の時にも顔出ししてたよね、佳子がドラマのセットを訪問した時】

【二人の美女が「兄弟姉妹、共に進め!」に加わることを歓迎します。楽しい旅になりますように〜】

前回のゲストは特に問題もなく、番組での振る舞いも良かったため、監督は二人をレギュラーメンバーのリストに加えることを決めた。