第237章 スキー

午前10時半頃、朝比奈初と長谷川彰啓はスキー場に現れた。

二人とも以前にスキーのような競技に触れたことがなかったため、スキー板を履き、スキーウェアを着た後、専門のインストラクターについて学んでいた。

彼らはアルペンスキーを学んでおり、最初は緩やかな斜面でプルークボーゲンによる制動や、ハの字ブレーキ技術、そして方向転換などの基礎知識を習得していた。

スキー場のコースは屋外に設置されており、滑走中に事故が起きやすいため、練習中も安全に注意する必要があった。

スキーの流れに慣れた後、彼らはリフトに乗ってコースの始点へ向かった。この時、コース上にはすでに多くのスキーヤーが現れていた。

初がコースに立つと、体を少し前傾させ、斜面の弧に沿ってゆっくりと前進し始めた。

他のスキーヤーが彼らの横を通り過ぎ、一人また一人と滑り降りていき、あっという間に真っ白な雪のコースの中に姿を消していった。

——

高柳萌は長谷川千怜に、あの夜の電気を消したのは自分だったと白状し、その後の午後中、千怜は彼女と口を利かなかった。

その日の放課後、千怜が萌と一緒に食事をしなかったことはすぐに他のクラスメイトの目に留まった。

以前は影のように離れなかった二人に、今や何か風の噂があれば他人の目を逃れることはできなかった。

夜の自習時間になり、担任が単語のディクテーションを行い、隣同士で採点し合うことになった。

千怜は書き終えると、自分で教科書を開いて単語表を見ながら採点し、隣の萌を全く相手にしなかった。

彼女が完全に自分を無視していることを見て、萌も千怜の前で嫌われるようなことはしなかった。

授業後、千怜はクラス全員の前で口を開いた。「先生、席を替えたいです。」

担任は教材を持って教壇から降りようとしていたが、突然誰かが呼ぶ声を聞き、その声の方を見ると、ちょうど千怜と目が合った。

担任は少し困惑した様子で彼女を見た。「席を替えたいの?」

「はい。」千怜はその場で理由を作り上げた。「視力が悪くて、後ろの席だと見えないんです。」

彼女の現在の席は後ろから3列目で、確かに黒板からはかなり離れていた。

クラスの座席表は成績によって分けられておらず、デフォルトでは出席番号順に座り、他の生徒から特別な要望があれば、先生が状況に応じて調整することになっていた。