第271章 密かな嫉妬

山口秘書は前回バラエティ番組の生配信を見て以来、公式の配信アカウントをフォローし、毎回の配信で公式からの通知を受け取るようになっていた。

まだ配信が終わっていないのを見て、山口秘書も興味本位でクリックして視聴した。

今は配信がゲストと視聴者のオンライン交流コーナーに入っており、配信ルームのコメントが高速でスクロールしていた。中には自分のコメントがゲストに見られないことを恐れて、連投している視聴者もいた。

朝比奈初と長谷川一樹は画面上を流れるコメントを見ていたが、目が疲れるほどだった。あまりにも速いスクロールスピードで、彼らはコメント欄の文字をはっきりと読むことができなかった。

初は隣にいるスタッフの方を向いて言った。「やっぱり先に抽選をした方がいいんじゃない?」

スタッフ:「わかりました」

【連投している方々、少し控えてください。朝比奈さんがコメントを読めなくて諦めそうです】

【朝比奈さんたちだけじゃなく、画面の前の私も目が回るわ。スクロールが速すぎる】

……

そのとき、長谷川彰啓がエレベーターから出てきて、ちょうど山口秘書の後ろ姿を見かけた。彼はポケットに両手を入れたまま、山口秘書の背後から近づいたが、相手はまったく気づいていなかった。

彰啓は目を落として何気なく山口秘書のスマホ画面を見た。画面の内容を確認した瞬間、彼の表情が急に暗くなり、瞳の奥に複雑な感情が浮かんだ。

オンライン視聴者の積極性を高めるため、番組側は特別に視聴者参加型の賞品企画を用意していた。視聴者がコメント欄に投稿し、スタッフがランダムにスクリーンショットを撮影。キャプチャされたユーザーは全員、ゲストが手作りした謎のプレゼントボックスを1つもらえるというものだった。

山口秘書はこの企画が面白いと思った。当選するかどうかは別として、参加することに意義があるという精神で、コメント編集欄をタップして参加しようとした瞬間——

長谷川彰啓の冷たい声が背後から聞こえてきた。「暇なのか?」

「……長谷川社長!」山口秘書は驚いて手が震え、急に振り返ると、彰啓が自分の後ろに立っていた。